国盗り物語 で熱くなる

音楽の方がネタ切れ,と言う訳ではないのですが。
でも、今日も本を紹介したい気分なので、これで。

司馬遼太郎が亡くなってから、もう10年以上経つ。
僕は大ファンというわけではないのだが、この人はなくなってからも、その著書は絶大な支持を受け続け、売れ続けている。
すごい。

大ファンなら必ず持っているであろう、「竜馬が行く」も読んでいない僕が、おこがましいかもしれないけれど、でも、本当に面白い本なのだからお薦めです。
国盗り物語」。
これはまさに血脇肉踊る物語。
時は戦国時代。
足利将軍の権威が薄れ、下克上、弱肉強食の大波乱の世の中。
そんな中、坊主の見習いから美濃の国(岐阜県)の主にのし上がった、というより奪い取った斉藤道三、そして彼と入れ替わるように登場し、天下布武の完成間近に部下の明智光秀に謀反を起こされ、殺された織田信長
この二人が主人公で、題名の通り、いかにして「国を盗っていくか」の物語りである。

特に面白いのは前半の斉藤道三。
日蓮宗の僧から、京都の油売りへ。
そして美濃へ向かい、領主土岐氏から、「国を盗る」。
人としては、はかりごとばかりで、うそつきで、人殺しで、(戦国の武将なんて多かれ少なかれそんなもんだろうが)ろくでなしかもしれないけれど、ものすごく面白い。

この時代ゆえ、かもしれないけれど、そしてこういう人を主人公に描かれた物語ゆえ、かもしれないけれど、出てくる人物が、みなぎらぎらしている。
野望の固まりである。
ぞくぞくする。
驚くのはこの登場人物達が、この物語に出てくるような大変革、大成功をそんなに時間をかけずにやっていることだ。もちろん才能も巨大だったのだろう。
だが、こののし上がりぶりはどうだ。
自分の身と照らし合わせると、そのあまりのスケールとスピードの違いに情けなくなる。
ま、比べること自体間違っているし、いずれにしたって、僕は僕のペースで行くしかないのだが。

身の丈に合わないことを急にやろうとしたって、それは無理だろう。
でも、ともすれば縮こまりがちな心を、解き放つにはいい。
国盗り物語」を読んだからって、すぐ英雄になれるわけではない。当然だ。
でも心の中の王国で、野望を大きく描くくらい、いいだろう。
あとは、それに向かって一歩を踏み出せるのかどうか。
自分のサイズを少しでも超えたいよね。