ソニー・ロリンズは幸せの音

何を今さらの大名盤なのだけれど、ソニー・ロリンズの「サキソフォン・コロッサス」。


2000年に、初めてソニー・ロリンズを見に行った。
ジャズに興味を持ち始めて、一年くらいの頃。
初めて見るジャズの巨人だ。
この時で70才くらい。もう生きて動いているのを見られれば、それでいいと思ったのだが...。
いやぁ、凄かったです。
まず出ている音が力強くて熱い、太い。
なんなんだ、このじいさんは!かといって力だけで攻めるわけではなく、面白いフレーズが飛び出したり、充分知性も感じさせる。
以前読んだ、村上春樹氏のジャズに関するエッセイで、『ジョン・コルトレーンは理系の天才、ソニーロリンズは文系の天才』というのを読んで、なんか妙に納得したおぼえがあるが、(どこがどう文系なの?と問われても答えようがないけど)正に音を奏でるために生まれてきた人の、素晴らしい音に、浸れるだけで充分である。


正直に言って、死ぬまで音楽的に革新を続けたマイルズ・デイヴィスと違い、ソニーロリンズが音楽的に斬新なものを生み出せていたのは、1960年代までだと思う。
だが、それがどうした?
こんなにイキがよくて、パワフルな音を奏で続けていた人なのだ。それで充分ではないか。


サキソフォン・コロッサス」は、なにも僕が薦めなくても、大名盤として認知されている。
でも、未聴の人にはぜひ、聴いてほしい。
音楽ってこんなに幸せなものなんだ、って心の底から味わえるから。


昨年の来日が引退公演だったそうだ。
行きたかったけど、チケットがあっという間に売り切れで見られなかった。
もう、僕は生のソニーさんを見ることはできないのだろうか?
乞・再来日!