ケニー・ドーハムを聴いて音の黒さってなに?と考えた

ケニー・ドーハムの「アフロデシア」。1955年の作品。
アルバム「アフロキューバン」に収録。
この曲はいわゆる、クラブジャズ/レア・グルーブ界では超有名曲らしい。
ぼくはその辺に疎いのでよく分かっていなかったのだが、ジャケ買いで買って、一番ピンときたのがこの曲だった。
アフロ、もキューバもよくは理解していないのが、音のフィーリングが黒いのはよく分かる。


ところで、僕も何気なく使ってしまうが、音の黒さってなんなのだろう。間違いなく存在するのは、確かなのだが。

たとえば、

ビートルズ
エスタデイ
ヘイジュード


ローリングストーン
ルビー・チュ−ズデイ
タンブリング・ダイス


RCサクセション
僕の好きな先生
スローバラード

分かり易いように同じミュージシャンの曲でまとめてみた。
かなり典型的なので比べたのでかなり差が出ていると思うが、上の曲より、下の曲の方がいわゆる「黒っぽい曲」になるように持ってきてみた。

これだけで判断するのは危険かもしれないが、でもはっきり傾向が出ているようにも思う。
・リズムにタメがある。(リズムの力点がやや後ろ寄り)
・リズムの跳ね方が違う。細かいリズムでもきちんと跳ねる。
・ベースラインが重要。ドライブ感おおあり。
・メロディ上に7th、9thをポイントで入れている。
・繰り返しの多い曲構成/進行
・コードもわりと少ない。(というか基本的にスリーコードかそれ以下)

この程度のことは、別に新しい発見ではなく、ちょっと気の利いた音楽解説・評論書には書いてあるだろう。
でも、明らかに黒い、黒くないというのは一聴して分かる。
また黒人がリズムセクションにいる、いないもさほど関係ない。
ドナルド・ダック・ダンは白人だが、真っ黒なベースを弾く。

そして僕的には音の黒さと音のかっこよさは、かなりの確度で一致しているのだ。
でも、なぜ?ここから先は言葉に詰まる。

たとえばレッド・ツェッペリンの「胸いっぱいの愛」やっていることはほとんどファンクである。
だが、いわゆるファンキーにはあまり聞こえない。
ものすごくかっこいい曲だけど、何かが違う。
といっても黒くないからといってこの曲の、演奏のすばらしさが減じるわけではないのだが。

でもってふたたび「アフロデシア」
まぎれもなく黒い。
かっこいい。
これだけ感じられればいいのかな、とりあえず。
ま、このグルーブを生み出している、かなりの要因がドラムのアート・ブレーキーとピアノのホレス・シルバーにあるのは間違いない。
でも要素に分解してもあまり、意味ないか。
この空気、グルーヴィだもんね。