ケブ・モとは長いお付き合いになるかも

ケブ・モ、というブルーズマン。
今、50代くらいなのだろうか。
2006年の今、ブルーズという音楽スタイルが
どれだけ必要とされ、聴かれているのかはよく分からないが。
オールディーズのブルーズではなく、現在進行形の音楽として、このケブ・モ氏はブルーズしている。

いわゆる、くさいタイプではない。
ジョン・リー・フッカーのような、わけのわからないおどろおどろした「地獄の衝動」を伝えてくれるようなタイプの人ではない。(っつーか、そういうディープな人がそんじょそこらにごろごろしていたら、それはそれで大変だ。メーワクかもしれない)。

ケブ・モは多分、感覚的には「フツーの人」だと思う。
そのフツウの人が普通に人生を過ごしていって感じる「ブルーズ」を歌っていく。
普通に生きていく、のだって十分にヘビーだし、大変なことだって、まま起こる。
この人の音楽を聴いて、情念にぶっ飛ぶ、とかあまりの濃さにうわあ、ということはない。
でも普通に生きることのリアルさ、が音を通して十分に伝わってくる。
ブルーズには珍しいタイプの、さりげない語り口、をもった人なのだ。
ジミー・リードからひょうきんさをマイナスした感じというか。(すげーなこの言い方も。しかも分かりにくいかも)。

初めて聴いたときは、その薄味さ加減が食いたらない感じがしたけれど、何度か聴いたらぴったりなじんできた。おろしたてではなくて、何度か洗濯して、自分の癖となじんだお気に入りのシャツみたいだ。
「レター・トゥ・トレーシー」など、このところ何回も聴いている。
多分こういう感じで合う音楽は、長く聴いていくと思う。
折々で、こういう人の音と出会うから、音楽を聴くのって楽しいんだよな。