ジョアン・ジルベルトの入れ子のような音楽

ジョアン・ジルベルトの「3月の水」というアルバム。
そしてそのタイトル曲。
1973年の作品だ。

入れ子のような構造の、エッシャーのだまし絵のような不思議な世界。
サイケのように音響的な仕掛けがあるわけではない。
ガットギターとパーカッションとヴォーカルだけ。
なのに、聞いているほうは異界へ連れて行かれてしまう。
さわやかな異形。
蛇が自分の尻尾を飲み込みつつ、前へ進んでいる音楽。
しかも美しい。

音楽をやるものとして、この境地に少しでも近づきたい。