R.L.バーンサイドこそ、モダンブルーズの名がふさわしい

R.L.バーンサイドというブルーズマン。
惜しくも昨年亡くなってしまったが。

と、さも知ったように書いているが、僕もこの人のことを知ったのはつい最近。で、調べてみたら、「あらら、去年に亡くなっていたんだ。」ということが判明。好きになったときにはこの世にいらっしゃらない、ということだったのだ。
1926年生まれで2005年に亡くなったのだから、78歳か79歳まで生きたことになる。で、亡くなる一年くらい前まで、レコーディングなどもしていたようだから、大往生、といってよいのではないだろうか。
まぁ、そんなこと他人が言えることではないのだが。

世代で言ったら、この人はマイルズ・デイヴィスクラレンス・ゲイトマウス・ブラウンなどと同世代である。
しかし、幸か不幸かこの人はさほどの脚光を浴びることなく年を重ねてしまう。名前が出てきたのは、どうも1980年代以降50代も半ば過ぎ、60歳代になってからのようなのだ。

また、1996年にはジョン・スペンサー・ブルーズ・エクスプロージョン(しかし長い名だよな)とも一緒にアルバムを作っている。昔からやっている人なのだけれど、感覚的には割りと現代の人、なのかも知れない。

この人の1994年のアルバム(68歳のときか)、「トゥ・バッド・ジム」がお薦めだ。
ジョン・スペと一緒にやる2年前のアルバムだ。

なんと言ったらいいのだろう。不思議な魅力だ。
この人はいわゆる「上手な」、というタイプではない。では、パワーごりごりかというとそういうタイプでもない。ひょうひょうと粋な、でもない。

粗削りでタフな音なんだけれど、腹八分目くらいのちょうどいいところで音を出しているかんじ。
だからタフなのに、ごりごり感が少ないのだろうか?

また、曲の構成もいわゆる3コードのブルーズ、ではなくて1コードかそれに近い構成。独特の引きずるようなファンク感。
編成が、エレクトリックギター2本とドラムという、ベースレス編成。曲によってはギターとドラムとか、エレクトリックの弾き語りなども交えている。
その辺の、音のボトム感の薄い感じも、いいほうに作用しているのかもしれない。

50年代くらいを通ってきた、大物のブルーズメンたちが、殆ど鬼籍に入ってしまった今、もう残る大物はバディ・ガイやオーティス・ラッシュくらいなのかなぁ。つい最近ジャズの人だけれどジャッキー・マクリーンも亡くなってしまったし。
バーンサイド氏はどう贔屓目に見たって「大物」ではなかったけれど、80年代や90年代に「骨董品のブルーズマン」としてではなく、ちゃんと今を生きるブルーズを奏でていた、というところがすばらしいところだと思う。
世に認められたのは遅かったかもしれないけれど、ちゃんとこの人にしかできないことをやっていたのだ。
かっこいいなぁ、と思う。

この人も結構スライドギターを弾く人だ。
僕の好きなスライド・ギタリストに必須な「クソオヤヂ」な雰囲気はたっぷりたたえている。
よいです。