金持ちのぼんぼんが作った音楽はクールだ

ボサノヴァ、という音楽はその始まりからして「金持ちのぼんぼんの音楽」だったらしいが〜それはその音を聴けば十二分に納得がいく〜ぼんぼんにも、ぼんぼんなりに表現すべきことはあるわけで、その質においてのみ評価されるべきだろう。
もちろん、ボッサはいい。
好きだ。
涼しい。
こういう音は余裕がないとでてこないと思う。
ディランには、絶対似合わないスタイルの音楽だと思う。

ボサノヴァのオムニバス盤を買った。
色々な人の色々な曲が入っているのだが、特に気に入ったのは、マルコス・ヴァーリという人の「サマー・サンバ」。
曲は有名なので、インスト版での演奏は以前から知っていたが(夏のスーパーなどで、必ずかかっている)これはヴォーカル入り。そしてこれがまた、粋さと滋味に溢れていて、よいのだ。
マルコスのヴォーカルが色男、あるいはジゴロ風である。
でも暑苦しくも、べとつくような感じもしない。
僕もジゴロなるものになったこともないし、ジゴロの友人もいないので、ジゴロがべとついた存在なのか、乾いた存在なのか見知ったことはないのだが。
でも、身近にジゴロの友達がいる人もあんまりいませんよね?
いる人はぜひ、名乗り出て欲しい。

ボサノヴァを特徴づけているのは「あのリズム」とメジャーセブンやマイナーセブンを多用した、独特のコード進行だと思うのだが、なぜこの組み合わせが、涼しさと余裕を生むのかは謎だ。ただ、これを的確に表現するには高度な技術がいるのは確かだ。

好きな音楽だが、やりたいタイプのものとは、ちと違う。
でも、こういう音の中に身を任せていると、大変気持ちいい。
世界が少しくらい歪んでいたっていいじゃないか。という気持ちになる。
借金のことだって忘れる。

僕にとっては「サマーサンバ」は、ひいてはボサノヴァはそういう音楽だ。
よいです。