下品で素敵なスージー・クアトロ

下品でポップ、というのはよくありそうで、あまりない。
下品、というより、身も蓋もない単なるバカだったり、ポップ、というよりも、ただ単に軽いだけの中身空っぽ、と言う場合が結構多いからだ。
スージー・クアトロは紛れもなく下品でポップだ。
ただし、売れていた頃は、という注釈付きで。
多分本人は、そういう下品な下世話なところが嫌だったのだろう。
悲しいことに、彼女のサウンドから下世話さが抜けていくごとに売れなくなっていった。
そんなスージーの「ワイルドワン」
歌い出しだけ聞くと、榊原郁恵の「夏のお嬢さん」にそっくりだが、もちろんカバーではない。はずだ。
もう最高に下品で、スピード感があってかっこいい。
こんなスージーだったら、「やっちゃいたく」なる。(ま、「やらせて」くれないだろうけど)

この曲はスージーのオリジナルではなく、「チン&チャップマン」というソングライターチームの作品だ。
このチームの作る曲も、もともとアホ系が多く、(ゴフィン&キングみたいに売れ筋なのだけどちとアカデミック、とは大違い)演奏する、人とサウンドによって下品さ具合が違う。だが、共通して言えるのは無類に楽しい、ということ。作り手側からすると、楽しいだけ、と言う作品は結構難しいのだ。感動させよう、と言うスケベ心を抑えるだけの抑制された自意識が必要なのだ。クールだ、チン&チャップマンも。

もう今や、いいおばさんになってしまったであろう、スージーだけれど、この下品でポップなころのスージーエバーグリーンだ。
素敵です。