ビーチボーイズはペットサウンドではなく...

ビーチ・ボーイズと言えば、サーフ・ミュージック。
初期はそのとおりであります。名曲の嵐。
この10年くらいはビーチボーイズと言えば「ペットサウンズ」。
もちろんカンドーの名盤であります。

でも、だからと言って好きかどうか、はべつの問題。
僕はサーフィン系の初期のビーチボーイズヒットは大好きだ。
ペットサウンズに関しては、すごい、と言うのは一聴して分かるけれど、では、好きか?と問われると「うーむ、ふつう」。というかんじなのだ。
では、泣く子も黙る「ペットサウンズ」すら押しのける、いしはらの愛聴ビーチボーイズアルバムとは?

「20/20」です。
ビーチボーイズを知っている人ほど、腰が抜けたのでは。
色々な音楽雑誌などで、私の好きなビーチボーイズのアルバムなどという特集があったとしても、このアルバムのことを特に語っている人など、見たことがない。
要するに「相手にされていないアルバム」なのです、これは。

でも、アルバムトータルではいちばん数多く聴いているのではないかな。
もちろん、僕はビーチボーイズのアルバムを全部持っているわけではないので、未聴のものにも僕が気に入るようなアルバムはあるかもしれない。そういう意味では「M.I.U.」などは匂う。実に匂う。でも外れの可能性も高いような気もする。こっちの可能性も匂う。匂うぞ。

20/20のどこがいいのか?
まず収録曲の数々が僕好みのいい曲だ。
それもあの時期特有の、多分にオクスリの影響かもしれないが、変なねじれ感があってとても心地よい。
特に最後の「キャビネッセンス」(これは噂のスマイルからのお蔵出しだそうだ)のぶっ飛び具合はすさまじい。

また、曲調のバラバラ感、曲順なんかもあんまり考えて並べてないな、というようないい加減さが、このアルバムではうまくはまっている。多分まぐれだと思うけど。ちょっと。ビートルズホワイトアルバム、にも似た感触がある。

聴き心地が良いような悪いような、不思議なアルバムである。全体の空気もやる気のあるようなないような、実に微妙な感じである。
敢えていってしまうけれど、このアルバムに関してはこの「半端感」がよいのである。ビーチボーイズでもホントに中途半端でただ単にダメ、なアルバムはいくつかある。他のアーティストのものも含めれば、中途半端でダメ、なんて無数に存在するだろう。
でも、「中途半端だけど、いい」などというのは、それこそ創ろうと思っても作れない。
そんなものに「いい」と意思表示するんだって微妙な感じである。
でも。
いいものはいいし 好きなものは好きだ。
20/20。
誰が聴いても名盤、というものではないと思う。
でも、これを好きだ、という人とは一度、じっくりお茶でも飲みながら「ロック/ポップよもやま話」でもしたいな、と思う。