僕の師匠はレイ・デイヴィス/キンクスだ!

キンクスは僕のいちばんのフェイバリットバンドなのだけれど、このページでは書くのは初めてだ。
もう僕にとっては神のような存在だから、「批評性」を放棄してしまっているようなところもあるし、(僕にとってキンクスの駄曲は存在しない。)また、ブリティッシュ4大バンド、などといわれる割には、フーに比べたって圧倒的に知名度が低く、一般的には「ユー・リアリー・ガット・ミー」以外は、ほとんど知られていないと思う。

そんなキンクスが、80年代に放った起死回生のヒット曲「カム・ダンシング」。僕にとっては唯一の、リアルタイムで体験したキンクスのヒット曲。
大好きな曲だ。

キンクスのリーダー/ソングライター、レイ・デイヴィスという人も、相当にねじれている人のようで、評伝や雑誌の記事などを見てもロクな書かれ方をしていない。要するに奇人だと。
でも、この人の曲の、特に歌詞に見られる独特の視線の暖かさは好きだ。
視線の位置が低いといってもいいかもしれない。
アングルが違うのだ。

この歌詞に現れる優しさと、本人の性格のねじれが関係あるのかないのかは知らない。
もの凄くいい人で、こういう歌詞をかける人もいるかもしれない。

でも、一ファンの僕にとっては 〜それは身近につきあうことがあり得ないからこそなのかもしれないけれど〜 奇人、ねじれた人ゆえに、優しさを持った歌詞をかけると信じていたい。
こういうのはちょっと斜めから、とても冷静に物事を見ていないと書けないような気もするからなのだ。

「カム・ダンシング」。
レイのお姉さんが若い頃、ダンスが好きで、よくダンスホールに出かけていた、そんな情景を歌ったらしい。
そんなお姉さんの青春の象徴が、やがて廃れてスーパーマーケットになり、それもつぶれて今や駐車場になっちまった、なんて描写をさりげなく混ぜるだけで、とてもとても切なくなる。

僕もいい歌をもっと作りたい。