聞き上手なウィントン・ケリー

今日はジャズの、しかも割りと地味な人をお薦め。

世の中には聞き上手、な人がいる。
人の話をよく聞き、いいタイミングで相づちを打ち、喋っている人を気持ちよくさせ、更に面白い話を引き出す。
僕もそんな人を目指しているところもあるのだが、なかなか、なかなか。

ウィントン・ケリーというジャズのピアニストがいる。
いや、もう亡くなっているから、いた、というべきか。
「ミッドナイト・ケリー」や「ケリー・ブルー」などが、彼のソロアルバムとして有名なようだが、僕はこの人のソロアルバムを持っていない。
では、なぜお薦めに?

マイルズ・デイヴィスの「サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム」、ハンク・モブレイの「ソウルステーション」「ワークアウト」。
これらのアルバムでピアノを弾いているのが、ケリー氏である。
初めはそこまで、気がつかなかった。
あくまでもマイルズの、ハンクのアルバムと思って聴いているから、当然といえば当然だ。
だが、それぞれの主人公達のプレイの良さはもちろんだが、バックアップしているピアノがよい。
バッキングの時は控えめながら、要所要所で味のある音を出す。時には主役をあおる。オブリガードのフレーズなど、主役に対してのいい感じの相槌に聞こえる。

で、ある時、このピアニストは?と思ってジャケットをよく見てみたら「ウィントン・ケリー」氏の名がどのジャケットにも記されてあったのだ。

彼のバッキングで、主人公達が饒舌になりすぎることはない。
でも、いちばん美味しいところを引き出しているような気がするのだ。
こういうのってもの凄くセンスがあると思うし、カッコイイとも思う。
こういうプレイヤー、大好きです。

大人だよな。