ジョージ・ハリスンは弱さを表現させたら世界一!

今日もギタリスト話を。
前回取り上げたのがキース・リチャーズでしたが、
今日はジョージ・ハリスン。
もちろん好きだから、なのですが。


しかし、べたべたですよね。
好きなギタリストが、ストーンズビートルズだなんて。
自分でもちょびっとべたかな、とは思います。
でも、掛け値なしに本当に好きなのだからしょうがない。
それにジョージも、キースもギタリストとして、
もっと評価されていいはずだ、と思っているのです。


ジョージはうまい下手、だけで言ったら、
けしてうまいタイプではありません。
僕よりはうまいけれど
(ははは、許してくれ、天国のジョージさん)。
でも、ジョージのギタリストとしての表現力は
見事なものです。
そしてフレージングやコードの独特な、しかし、
一発でジョージと分かるあの感じ。
音色のセンスもすばらしいのですよね。


ジョージと他のギタリストを大きく分ける、
一番大きなところはなにか?
それは『弱さ』の表現だと思います。
力いっぱい、とか、根性、とかは
ジョージはきっと苦手だと思う。
でも、音楽的な表現でも、人間的な表現でも、
ジョージほど、『弱さ』を表現できる人は
いないと思います。
その弱さと繊細さに『力づけられる』のです。


ジョージのベストプレイは、
ちょっとパチモンくさくもあった、
再結成ビートルズの「フリー・アズ・ア・バード」です。
あのイントロの、あの間奏の、人生の陰影すべてを
包み込んだようなスライドギター。
感動以外に言葉がありません。
僕はあの曲を聴いた時に、あのスライドギターを聴いて、
思わず涙が零れ落ちました。
ギターソロを聴いて涙した、なんて初めてかもしれません。
心をわしづかみにされました。


人生そのもののような、深く哀しく、そして弱さを
表現しきったフレーズと音。
技術的にはぜんぜん大したこと弾いていないのに、
あの深さ。
自分がいつあの地点までいけるのかと思うと、
めまいがしますが。


ジョージを聴いていたからこそ、僕も、
ここまでくることができたし、
生きる元気もわくってものです。


なんとも不思議な、しかし偉大なギタリストです。


ビートルズにおけるジョージも、ソロのジョージも
滋養たっぷりな、心の必需品です。
聴いてほしいなぁ。


いしはらとしひろ