絵に描いたようなだめ人間 デニス・ウィルソンの美しいバラッド

ビーチ・ボーイズのドラマー、デニス・ウィルソンはもう絵に描いたようにダメ人間だったらしい。
わがままで、女たらしで、金遣いは無茶苦茶で、ヤクもやり放題で、日常の行動もはちゃめちゃ。
挙げ句の果てに冬のカリフォルニアの海で、酔って溺れて死んでしまった。
ぼくもそういうのに、ちょびっとは憧れないでもないけれど、でも、そういうのをやり通せるほどの、根性もないだろうなぁ。

そんなデニスだけれど。
かれの残した音楽は素晴らしい。
美しい。
切ない。
繊細な音楽だ。
心にはいつもぽっかりと穴があいていたのだ。
それを埋めるための放蕩三昧だったのだ。
もちろんそれを肯定しようとは思わない。
でも、そんな穴だらけの心から生み出された、とてつもなく美しい「フォーエバー」を聴くと心が洗われる。
僕の分まで、背負ってくれたのかな、と勝手な思い入れも許してくれそうだ。もう死んじゃっているし。

どうしようもない男の泣きたくなるほど美しいナンバー、ビーチボーイズのアルバム「サンフラワー」に収録の「フォーエバー」をお薦め。
秋の夜長にぴったりだ。