ダサ・けば・かっこいい?エドガー・ウィンター

エドガー・ウィンターという人を知っていますか?
ジョニー・ウィンターなら知っている、という人もエドガーは名前しか、というケースが多いのではないだろうか?
全盛期は1970年代。もう完全に過去の人ではある。
今聞けば、やっぱり古いところもある。
でも、無茶苦茶にかっこいい音楽をやる人なのだ。

「恐怖のショック療法」
ださいタイトルだ。かなり恥ずかしい。恐怖っていったい...。
ジャケットもださい。初めて見たときは、思わず声を上げて笑ってしまった。「なにこれ?はは。」ってなもんである。
んだが、何かひっかかるものを感じて買ってしまった。
まだLPの頃の話しだ。恥ずかしいジャケットにも関わらず、ジャケ買いである。僕もどうかしている。

最初から最後まで、引きこまれっぱなし。
かっちょええ。
1974年という、時代の音ではある。
でも、けばさとセンスの良さとラウドさと、下世話さとスピード感と悪趣味なところのブレンド具合が、普通なら相反するような要素がどういう具合かよく分からないけれど、いい按配に混ざっているのだ。

一曲一曲のグレードは高い。
要するにいい曲が揃っている。
それを一筋縄ではいかないセンスで料理する。
なに、この妙な転調?
とか、この美メロをこんな声で歌うのか?
とか、このアレンジ変!ってなところ
とか、もう美味しいところがてんこ盛りである。
さっきも書いたことだが、魅力を煎じ詰めてしまうと、センスがよいのに悪趣味。しかもそれがハナにつくぎりぎりのところで、うまく料理されている音楽なのだ。

惜しむらくはこのエドガーのセンスと時代がマッチしていたのが、わりと短い期間しかなかったと言うことだ。
明らかに1970年代後半以降のエドガーは、失速していく。

でもあとから振り返って聞く分には、いちばん美味しいところだけ聞いていればいいのだ。
リスナーとはそもそも勝手なものだが、でも、一つでも、二つでも時代を超えて、人の心に引っかかるものを作れる、というのは、素晴らしいことだ。

いいぜぃ、エドガー・ウィンター。